無一文
「すみません、難波まではどう行けばいいですか?」
中津のスタジオ前で、呼び止められた。
「…実はカバンとられ、警察でカードなどは止めたが、家の鍵もないんです。」
警察はお金貸してくれないし。
こんなこと言えないが、野宿はさけたいので、貸してもらえないか?
不動産屋は閉まっていたし。
女性に電話番号聞いたり頼むのも悪いのですが。
なんなら明日ここで返します。
引っ越したばかりで。
仕事場もまだで困っているんです。
(;_;)
とかいうややこしい人に会いました。
普通の20代くらいのぱっとしない男の子でした。
道案内も途中でやめ、
「お金は貸せないが」
ラガールカードの440円残ってるのを渡し、
「頑張ってね。」
と言って、私、逃げてみた。
嘘かホントかわからない話。
名乗らないのが、ちょっと本能にひっかかっただけ。
無一文、自分ならどうするだろう?
それにしても、
かわいい男の子なら、連れて帰ったのかしら?
ハンカチ忘れて一日困った。
CoCo壱番屋で寒がってたら、親切にひざ掛けを貸してくれた。
そんな雨の日。